某文具メーカーの万年筆工場で、ペン先職人を務めた長原幸夫氏が フリーとして活動。
万年筆の各メーカーや販売店・団体が開催する『ペンクリニック』では、メーカーの技師・ペンドクターと呼ばれる専門家が、万年筆の調整を行なってくれます。
ただ、不定期に開催されているため、急ぎの場合や 近くでペンクリニックの開催がない場合には 頼りになる「駆け込み所」を知っていると安心です。
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目次(ざっくり内容紹介)
The Nib Shaper 〜万年筆ペン先職人・長原幸夫〜
万年筆の楽しさを一人でも多くの方に知っていただきたい。
どこへ持っていっても自分の思うような書き味にならない。
そういう人たちに手を差し伸べたい。
「ペンクリニック」サービスの内容・料金は??
サービス内容 | 料金 | |
基本サービス | メンテナンス (字幅を変えないもの) 引っ掛かり、スキップ、インクフローの調整 | ¥3,000 |
オプション | カスタムA = 字幅の1サイズダウン 2サイズ以上のサイズダウンは +1サイズごとに追加料金¥1,000 | + ¥4,000 |
カスタムB = 形状変更 スタブ、イタリック、アラビック、NK、NDEへの変更 | + ¥5,000 | |
カスタムC = スペシャル! NP、SPFへの変更 | + ¥6,000〜 | |
カスタムA+BorC 大きな曲がり直しなど | 別途お見積り |
実際に調整してもらった例
1. アウロラのMニブを イタリック調に。
縦線が太く、横線が細く書けるイタリック・スタブ系統の筆跡を好んでいたものの、元々カリグラフィー・ミュージックニブとして売られているモノは メッセージカード等に 大きな文字を書くことが用途なので、小さな文字を書く通常筆記には あまり適さず。
そこで ノート等への筆記に丁度良い字幅のイタリックが欲しくなり、その研出しを依頼。
ベースとなるペン先は 中字(M)。丸みのあった形状から、平たい形状に変更。希望していた通り、小さめな文字を書くことができ、尚且つ、縦と横に差のある明朝体風の筆記線が書ける万年筆になりました。
2. セーラー万年筆のFニブを まんねん調(NDE)に。
1本で細くも太くも書ける変幻自在のユーティリティープレイヤー・ふでDEまんねん。
文字に面白いぐらい変化がつくので常用しており、ニブの整形を依頼することにしました。
ただ、今回は普通の細字(F)からの整形にあたり、長刀ふでDEまんねんが 穂先が長く、先端にかけて絶妙な曲線という特徴に対し、整形ふでDEまんねんの反り部分は 根元から先端にかけて直線。
この効果は 寝かせて持った時の接地面が広くなるコト。形状こそ、機械で先端を曲げている廉価品と同様ですが、長原幸夫先生の手にかかれば、雲泥の差。超絶・なめらかな書き心地になりました。
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
ペンドクター・長原幸夫氏の妙技、味わいやすくなるよ!!
です。
一般的なペンクリニックでは 製品のアフターサービス+時間の制約上、「整備」 (Adjustment)という範疇に留まります。(主に、ペン先の食い違い、寄り加減を直す。ペン先とペン芯を適正な状態に合わせる。インクフローの改善などなど)
一方、長原先生のペン先調整の場合、各人に向けた「誂え」 (Personalization)、そして、「研出し」 (Shaping)にも対応が可能です。(ペン先を角度・ひねり・筆圧等の書き方に合わせる。形状変更・字幅変更・整形)
自分に最適化されたペン先は なんといっても満足度が高く、一度でも自分に合った調整を施してもらうと、その書き味の虜になるほど 劇的に変わります。後からでも なんとかなるのが 書き味(+字幅)。どうにもならないのが見た目。
気に入った万年筆を手にして、ペン先を調整してもらう。これが 理想の万年筆への一つの近道だとおもいます。