ボールペンの上向き筆記は、意図せずにやってることが多いから気をつけて!
先日書いた「テレビで紹介されたボールペンの復活方法」の記事にちょっとした質問をもらったので、その質問に応えたいと思います。今回の記事では、上向き筆記と上向き保管は違うものであること、上向き筆記で使えなくなる理由、そして加圧式ボールペンの優れている点について紹介したいと思います。
記事の内容をざっくり紹介!
- 上向き筆記≠上向き保管
- ボールペンが機嫌を損ねてしまうのは、意図しない上向き筆記。
- 加圧式ボールペンは、ぬらぬら系のボールペンとは一線を画する!
- まとめ: 非凡な加圧式ボールペンなら、普段使いのトラブルの心配いらず!
目次(ざっくり内容紹介)
上向き筆記≠上向き保管
先日の記事の最後の部分と抜粋に「上向き筆記を意識して!」と書いて公開したところ、こんなことを聞かれました。
「もしかして、ボールペンを上向きに保管しておくだけでも書けなくなるの??」
思わず私自身のペンの保管方法が心配になりましたが、それは大丈夫です。ボールペンのボール部分に空気が入る可能性があるのは、主に書く為にボールが回転しているときの話です。
しかし、少しだけ注意が必要な種類があります。それは、キャップ式のゲルインクです。
キャップ式の水性ゲルインクボールペンは、ペン先から常にインクが出る構造になっています。すなわち、これは同時に空気が入る可能性もあるということです。そのため、水性ゲルインクボールペンのキャップ部分には「パチンと音がするまで閉めて下さい」と書いてあることが多いです。
以前、文具売り場の試し書きコーナーでこんな場面を見かけました。おそらく、ボールペンの試し書きを終えたお客さんが、キャップの閉まりが甘い状態で放置していました。しかし、キャップが開いているため、ペン先から空気が混入しインクが逆流、そして、「だばーっ」インクがだだ漏れになってしまった残念なペンを見たことがあります。もちろん、「パチン」とキャップをしっかり閉めさえすれば、どっち向きで保管してもインクの逆流は起きないです。
また、油性ボールペンの場合には、ゲルインクと比べると「油性インク」は粘度が高く、ぬちゃぬちゃしているので、置いた程度で空気が入って逆流することはまずないと思います。
ボールペンが機嫌を損ねてしまうのは、意図しない上向き筆記。
ボールペンが使えなく理由には4個あると思います。それは、
- ボールの先から空気が入ることによるインクの逆流
- 落下などによるペン先の損傷
- 紙の繊維やゴミなどの巻き込み
- リフィルの使用期限切れ、インクの乾燥
2~4は、今回の対象から外れるのですが、圧倒的に多いのはおそらく「1. 上向き筆記による、ボールの先から空気が入ることによるインクの逆流」です。普通に使ってる人なら、上向き筆記はついついやってしまうことであり、今回も例をいくつかあげたいと思います。
例えば、壁に貼られたカレンダーに予定を書き込むとき、あるいは、寝転んで何かを記入するとき、そしてバインダーに挟んだ書類にボールペンで書きこむなどの状況は想定出来ます。このような場合、持ち上げていたりして、斜めになっている面に書き込みます、この状態が上向き筆記です。
また、私は実際に展示会へ行った時に、「わざと上向き筆記をして芯を書けなくする実験」を見たことがあります。ペン先を真上に向けて書きなぐっていると、インクは驚くほどすぐに出なくなりました。その時の理科の実験風説明の言葉を借りると、
水の入ったコップにストローをさす。ストローの吸い口を親指で押さえて持ち上げると、水が入ったままのストローが持ち上がる。この状態が、インクの出るリフィルの状態。しかし、親指を離した刹那、水は流れる。この状態が、いわゆるボールの先から空気が入った状態。ただし、ボールペンのインクは粘着性があり離れるのはゆっくり。
本来であれば、書く時にペン先が紙に対して下を向いていなければなりませんが、そこそこは書けてしまう為にやっている人が実に多いです。もちろん、これを1、2回やってすぐに書けなくなるわけではなく、運が良ければ最後まで芯を使い切れる場合もあります。空気が入ったとしても、重力の関係上、元に戻ることもあります。
しかし、ボールのすきまからじわじわと空気が侵入し、ボールとインクはゆっくりと離れていき、やがて逆流が起こる可能性は高いです。上向き筆記をしていると、肝心の時に、かすれが出たり、別のボールペンを探す羽目になったりします。
加圧式ボールペンは、ぬらぬら系のボールペンとは一線を画する!
現在、国産メーカーの加圧式ボールペンは3種類のみです。それは、パワータンク(三菱鉛筆 uni)」と「ダウンフォース(パイロット)」、そして「エアプレス(トンボ鉛筆)」です。
エアプレスの特徴は、
エアプレスは、APS(AirPress System)というノックのたび圧縮空気を作り、インクを押し出す新機構。
『速書き』や『上向き筆記』『湿った紙への筆記』などハードなシーンでも確実な筆記を約束します。アクティブに使うための機能が充実のノック式加圧油性ボールペンです。
ノックのたびピストンが加圧室を押しつぶしてリフィル(中芯)に圧縮空気を送り、インクを押し出します。速書き、上向き書き、湿った紙への筆記でもインクがかすれずくっきり書けます。
ジェットストリームが発売されて以降、油性ボールペンの主流は「なめらか」路線になったと思います。
実際にボールペンの売上げランキングを確認してみると、それが実に顕著です。多くの人が「なめらかさ」や「書きやすさ」を油性ボールペンに求め、ランキング上位を軒並み占めています。もちろん、私自身も「なめらかで濃く、書きやすい」特徴のボールペンは使っています。しかし、今回紹介している加圧式ボールペンは目指している場所・目的が全然違うところにあります。
例えるなら、加圧式ボールペンは実際の現場のことを考え尽くされた商品、いわば東京五輪が決まるキッカケになったとも言われている「安定感」です。このどんな状況でも弱点がないというのは、大きな強みです。へそを曲げることなく、淡々と目的を遂行します。
先程の上向き筆記になりがちなシチュエーションを思い出してみると、そこに控えのペンがあればいいです。しかし、ふっとアイデアが降りてきた時に、「なめらかで濃く書きやすい」ボールペンが、上向き筆記を難なく行えるのでしょうか。そんな時に限って、臨時のことが起きて、かすれたり、出なかったりすることは考えられます。
こんな場面で、私だったら選びたいのは、「いつでも機嫌がいい、どんな状況でも仕事をしてくれる男前な加圧式のボールペン」です。実際、私は加圧式ボールペンを家の至る所に配置してあります。ベッドの片隅、ソファの横、お風呂場、キッチン、カレンダーの近く、ランニング用のウエストポーチの中など…。上向き筆記が少しでも考えられる場合は用意してあります。
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
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非凡な加圧式ボールペンなら、普段使いのトラブルの心配いらず!
です。
当たり前に使っているボールペン、実はすごくデリケートです。
私も上向き筆記で書けなくなることを知る前はボールペンは「最後まで使い切れないもの」という印象を持っていました。試し書きの書き心地に興味を持ってボールペンに興味を寄せても、間違った使えなくなる方法をとっていてボールペンの機嫌を損ねていたことが残念ながら多かったように思います…。