プロの物書きの方たちに「一度使うと、病み付きになる」と言わしめてしまうほどの逸品。
発売してから30年以上のロングセラー商品でありながら、意外と知られていない名品をご紹介したいと思います。私が病み付きになった筆記具は、「トラディオ・プラマン」(ぺんてる)です。
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この記事の内容をざっくり紹介!
- プラスチックと万年筆が相容れた。
- プラスチック製のペン先にズレがあるのが書き味のヒミツ!
- 書き味はしなやか。 さすがの風格!
- まとめ: しなやかな書き味と文字の美しさ。30年以上売れ続けているのは納得!
目次(ざっくり内容紹介)
プラスチックと万年筆が相容れた。
どこか懐かしい感じさえする、レトロで落ち着いた印象を受けます。
トラディオ・プラマンの原型「プラマン」の発売を開始されたのは1979年でした。キャップについている”窓”と”ロゴ”が、「トラディオ・プラマン」の顔とも言える存在であり、カタチは昔のままです。また、マット調太っちょボディは、普通のボールペンとは異なった印象を受けます。
トラディオ・プラマンを分解してみると、そのつくりは実にシンプルです。
プラスチックだからという手抜かりは一切ありません。そこには、プラマンならではの良さが追求されています。インキカートリッジとペン先がそっくり一体になっていて、交換が簡単です。つまり、お手入れ(メンテナンス)がものすごく楽です。
[box class=”box29″ title=”「プラマン」が開発された背景”]
時は1970年代後半。プラマンが特に影響を受けた商品は万年筆です。万年筆には魅力があったものの、他の筆記具の発達・使い勝手の悪さ・価格の高さが理由となって、段々と使われることが少なくなりました。そのため、ボールペンやサインペンが登場してからは、”嗜好品”として生き残ることになりました。(漆や銀のボディ、高級ブランドのアイテム・・・などなど。)
ただ、その一方で、万年筆の書き味のよさ・濃淡・筆跡の美しさは、どの筆記具でも代替は難しく、憧れている人は依然多くいました。そこで、ぺんてるは安さと使いやすさの両方を追求し、万年筆の肝といえる金属製のペン先をプラスチックに置き換える研究・開発を進めることになりました。
そして、1979年、万年筆とサインペンの特性を兼ね備えた「プラマン」が世に送り出されることになりました。以来、30年以上の歴史があるロングセラー商品となり、間口の広い商品として世に送り出され続けています。しかも、1994年フランスの国際文具見本市で”金賞”を受賞。実力は折り紙付きです。
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プラスチック製のペン先にズレがあるのが書き味のヒミツ!
ペン先は左右対称ではなく、意図的にズラされています。
万年筆の金属製ペン先が持つ”ペン先の弾力”と”角度によって異なる筆幅”を再現するため、試行錯誤を重ねた結果。それが、ペン先の”ズレ”というわけです。この”ズレ”のお陰で、万年筆ともいえる、でも、万年筆もどきではない「プラマン独自の書き味」が得られます。
書き味はしなやか。 さすがの風格!
ペン先端についているプラスチック(樹脂)のおかげで、紙へのあたりが優しいです。
万年筆の金ペンでも、このタッチの柔らかさ・しなりは味わえません。ムラのないインクフローとサラッサラの書き味。超極太の万年筆に似てる感じもしますが、太い線、細い線を自由に作り出せる日本古来の筆を扱っている感覚が強いです。
しかも、筆とは異なっています。プラスチックには芯があるので、筆の微妙な力加減が苦手な人でも安心して書くことができます。日本語を書いていて気持ちがいいな、そして心なしかいつもより字が綺麗と素直に感じました。この筆ペンタッチの表情が、私は特に好きです。
一本のプラマンでも力の加減を変えれば、面白いくらい書き分けれます。
ただ、5mm幅の方眼に書くことは全く問題ないですが、手帳に細かく記入する用途には向いていません。リズムをつけて、すばやくサラサラと走り書きするのも良し、じっくり手紙を書くのにも力を発揮してくれます。
個人的な好みを言うと、日本語を書くのなら2011年に沸いた、パーカーの第5領域のペン・インジェニュイティよりも使い勝手がいいです。(インジェニュイティは乾かないのがポイントです。)
たしかに、普通の100円ボールペンと比べれば、500円の筆記具は割高かもしれません。ですが、筆記具をいろいろ試した私が惚れに惚れている、病み付きになった書き心地を500円で試せる! そこまで高くないと思っています!
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
しなやかな書き味と文字の美しさ。30年以上売れ続けているのは納得!
です。
最後に注意点を一つ。ペン先はプラスチックであるものの、繊細に出来ています。
ボールペンを使う時と同様に押し付けて書いたりしてしまうと、先端が簡単にダメになってしまいます。使い方は万年筆のように、優しくソフト。力をいれて書く必要は、まったくないです。
しかし、私自身、税理士試験の模試をこのプラマンで解いていた時に、緊張で筆圧をかけすぎて2本ダメにしちゃいました。比較的ランニングコストが安く、ハードに使ってダメになってもしょうがないと思えるのも魅力の一つだと思います。