プラチナ万年筆の#3776・精進(SHOJI)は、輝く水面のような淡い透明ブルーの万年筆。 顔料インクを使える工夫:スリップシール機構も面白い

shoji01 凛とした透明感に似合うシャキッとした書き心地とスリップシール機構が魅力の万年筆。

2012年にプラチナ万年筆が限定発売した富士五湖シリーズの一角「#3776 精進」を入手しました。スリップシール機構によって安心して顔料インクを使うことができ、書いた字の保存性を考える場合もオススメの一本。#3776・精進の軸の色(淡いブルー)も気に入っていて多用しています。

目次へ

記事の内容をざっくり紹介!

  1. 富士五湖・精進湖から名前をとった透明感がある万年筆
  2. スケルトンの魅力。 スリップシール機構が働く様子を観察。
  3. スリップシール機構が可能にした、顔料インクユーズ(USE)!
  4. まとめ: 透明感溢れる爽やかブルーの万年筆。顔料インクも使える機能充実派!

富士五湖・精進湖から名前をとった透明感がある万年筆

DSCF0884 DSCF0885 DSCF0887 富士山をモチーフとした#3776シリーズ(プラチナ万年筆)の富士五湖限定第二版 「精進」。

富士五湖をテーマにしている限定で発売された万年筆です。第1弾は2011年に発売された「本栖」、そして第二弾がこの「精進」(2012年)です。ちなみに、その後「西」(SAI)が発売になりました。
残りの河口、山中が出るのを愉しみに待っています。

#3776・精進のボディは、水の色がうっすら映ったような透明感溢れるブルーです。うっすらと青味がかってた気付かないくらいの絶妙な蒼。湖の雰囲気が表現されているため、好みな部分です。

DSCF0889 DSCF0876 好みが分かれるスリップシール内部の印字。

スリップシール部分をよく見ると、#3776、MOTOSU、SHOJI、SAI、KAWAGUCHI、YAMANAKAという順番で富士五湖が取り囲んで並んでいます。(文字の右隣には、湖を上から見たときの形がプリントされてるという謎の徹底ぶり。) そして、今回のは精進がモデルになっているので、「SHOJI」のマークが反転しています。

このスリップシール内部のデザインがどうやら好みが分かれるようです。どう見てもダサい、安っぽいという意見もあれば、気にならないから全然OKという意見もあります。ちなみに、私は後者です。

目次にもどる

 

スケルトンの魅力。 スリップシール機構が働く様子を観察。

DSCF0871 1年間インクを入れたまま放置していてもインクがドライアップしないがウリの「スリップシール機構」を搭載。

元々は、低価格万年筆のプレピーやプレジールで採用されていたペン先が乾きにくくさせるための機構でした。しかし、プレピーのキャップ部分は嵌合(はめ込む)タイプでした。そこでネジ式キャップでも機能するよう、#3776用に進化しました。

 

DSCF0865 DSCF0866 DSCF0867 ねじ切りの残りが1/4ほどに少なくなると、半透明のインナーキャップが駄目押しのように最後にちょこっとくるっと回るのです。

スリップシール機構の真髄は、最期の締めくくりと回転にあります。キャップを閉めクルクルと回転させていると、ペン先の根元とインナーキャップが完全に閉まる前に接します。その上で、さらに押し込み気密性を高めています。

また、インナーキャップの先端にはバネが仕込まれているため、インナーキャップと首軸がぶれません。そして、インナーキャップの回転にも意味があります。ペン先の根元とインナーキャップの口が ピタリと合わさるため、接合部が擦り減ることがなく、隙間が出来る心配もないようです。

スリップシールという名前は知っていたのですが、メカニズムが実際に目に見える形で表現されているのは面白いです。この機能のおかげで、万年筆の大敵である乾燥による問題を防ぎ、長期間使わないという人にも安心して使えます。

目次にもどる

 

スリップシール機構が可能にした、顔料インクユーズ(USE)!

DSCF0881 DSCF0880 #3776らしい鉛筆のようなシャキシャキっとした歯切れの良い書き心地です。

 

書き味の気持ち良さが良いのは言うに及ばずですが、注目すべきは顔料インクを使えるとメーカーが謳ってることです。

インクには染料系と顔料系がありますが、染料系のものがほとんどです。そのため染料インクしか対応出来ない、メーカー保証外という万年筆がほとんどの中、異例といえます。簡単に紹介すると、染料に比べて顔料はインクの粒子の大きさが異なります。

染料の方がずっと小さいため、紙の繊維の中にまで入り込みやすく、水に溶けやすいという特徴を持ちます。一方、染料の粒の100倍くらいの大きさである顔料インクは、粒子が大きいため紙の上に文字を書いても紙に染みこみにくく、滲みも出にくいです。また、裏抜けがしにくく、一度乾けば耐水、耐光性にも優れているという特徴があります。

 

しかし、顔料インクには、裏返しのようにデメリットがあります。

もしも、乾いてしまうと水には溶けず、ペンの中でインクの詰まり・出にくさを起こしやすいということがありました。(メンテナンスキットがあります。) また、インクを入れっぱなしにして放置すると、中でインクが固まって使えないという万年筆に対する悪いイメージも先攻し、顔料インクは一部のユーザーのみに愛される 注意が必要な存在でした。

しかし、そのような諸刃の剣、顔料インクを使用可能と言わせた裏に、得意技スリップシール機構があります。

1年間放置しても、まださらさらと書ける。常識を覆すようなスリップシール機構の存在により、これまでの染料インクだけでなく、顔料インクも普通に使える選択肢に入りました。インクが中で固まらないかと余計な心配をせずに済むスリップシール機能は流石です。

目次にもどる

 

☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!

今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、

透明感溢れる爽やかブルーの万年筆。顔料インクも使える機能充実派!

です。

 

元々、顔料インクユーザーだったのですが、不安が減るのはありがたいです。

自己責任の範疇ですが、万年筆をなるべく使ってやれば顔料インクでも問題ないと思っているのですが 、たまにもしやと思うこともあります。そんな顔料インクをメーカー保証で使える為、遠慮なく資格試験勉強用として使っています。

精進を手に入れるまでは、パイロットのカスタム742(×純正ブルーブラックカートリッジ)の1本とボールペンを使ってたのですが、思い切って選手交代です。染料インクを使っていると滲みや汗で流れる心配をしなくてはならなかったのですが、心強く、頼もしい味方が手に入りました。

精進という名前も自分を鼓舞するようで、けっこう気に入ってます。(2012年発売のため、友人が持っていたものを買い取りました。)

参考LINK:プラチナ万年筆/精進
関連記事