段塗りを施したロングサイズのボディ、そして、このペン先で紙をなぞると、脳汁ドバドバ…。セーラー万年筆の特殊ペン先「クロスエンペラー」(旧モデル)がついた極上の品を 此度は紹介します。
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記事の内容をざっくり紹介!
目次(ざっくり内容紹介)
重ね合わせたペン先「クロスポイント」に「エンペラー」が載る。
ペンポイントのインク溝が 交差した十文字(クロス)に見えるから「クロスポイント」。
縦長なペンポイントで紙を捉え、メリハリの利いた筆跡が出せる「長刀研ぎ」。
そんな長刀研ぎをベースに、さらに1枚ペン先部分を重ね合わせた「クロスポイント」は 超進化版。安定したインク供給を目的とする巻きペン先・エンペラーの武装も相成り、インク含みは 並々ならぬ豊潤さ。二枚刃を紙に接地させてみると その弩級の太さに驚くこと、驚くこと…。
また、通常の長刀研ぎの太字(NB)の特色・筆記角度の左右のねじれへの対応範囲も、クロスポイントにおいては 格段に拡大。通常の極太ペン先(BB・ミュージック系)の筆記角度の可動域は狭く、ねじれには特に弱いものですが、クロスポイントならば なんのその。
使い手のクセを飄々と受け止め、なめらかにインクが迸る。この安心感、最強。(あまり「最高」「ヤバい」という言葉は使いたくないものの、クロスポイントの心地よい書き味は「最高」という他にない。)
ロングサイズのプロフィットに、オレンジ色の段塗り。
ペンの大きさは、収納時・全長158ミリのロングサイズ。クロスポイントとのバランスはぴったり。
勇壮。一目で尋常でない品だと、おったまげる…。(所々に 螺鈿も入っている)
驚かされたのは「軸」に施された細工。 (塗りを施したのは、漆芸家・加藤照代 氏)
漆を何度も塗り重ね、表面に凹凸を形成する「段塗り」という手法が採られています。「溜塗り」のしっとりとした漆の感触も好みですが、起伏によって空間のある段塗りも また 指とよく馴染みます。
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
極太のテッペン。キモチ良すぎて、ぐうの音も出ないほど…。
です。
いつか欲しくて、ようやく入手したクロスポイントの万年筆。
セーラー万年筆が オリジナルペン先の受注生産を休止するというニュース(2015年12月〜)が出る前々から、ずっと特殊ペン先を試してみたいと思っていました。しかしながら、セーラー万年筆の特殊ペン先の扱いがあるお店は少なく、そして、いつもの通り、「オレンジ色」×「特殊ペン先」という条件もあって、なかなか見つかりませんでした…。
特殊ペン先単体で値の張るモノ。やはり気に入った橙軸が良かったワケです。(クロスポイントは欲しかったので まだ見つかっていないときには、「透明軸の万年筆」or「煤竹」でもいいかなぁ、と妥協しそうになったこともありました / ペン先・エンペラークロスポイント、単純計算で4万円)
そんなこんなで手繰り寄せた極上の品。
時期によって、つくりが異なる特殊ペン先。私が入手したクロスポイントエンペラーは先代・宣義氏謹製です(エンペラーが逆巻き)。受注生産休止がいつ戻るかはまだ分からないものの、最新の研ぎ方もじっくり見てみたいものです。