多くの人が万年筆と聞くと思い出す存在、それはモンブランのマイスターシュテュック146です。
購入した際の思い出を含めて紹介してきた万年筆振り返り企画も、10本で最終回です。それでは、「THE・万年筆」とも言える存在『マイスターシュテュック146』を手にした時の思い出、そしてこの万年筆の特徴について書いていきたいと思います。
この記事の内容をざっくり紹介!
目次(ざっくり内容紹介)
回想 ~周りの人の縁~
この万年筆マイスターシュテュック146を手に入れたのは、22歳の誕生日です。
今までの誕生日には、自分へのご褒美という口実で欲しかった万年筆を購入していました。20歳の記念には、ペリカンのスーベレンM800(緑軸)。そして、21歳の記念には同じくペリカンのM320(2004年に発売されたオレンジ軸)を手に入れました。
この2つの万年筆は、今持っている万年筆の中でも特別な意味合いが強く、買う前にどうしようと悩んでいた記憶を鮮明に思い出せます。特に、21歳の記念に手に入れた万年筆スーベレンM320は、私に万年筆好きな方との繋がりや広がりをもたらしてくれたのです。
ブングボックスさんの万年筆カフェに参加! 出会いに感謝♪
万年筆に興味を持ち書くことを愉しむことが出来ていたのですが、一人で楽しむだけでした。
そのため他の万年筆が好きな方とお会い出来る機会がなく、他の人がどんな万年筆に興味があるのかなど人と会いたい欲が出てきました。
そんな折、オレンジ軸の万年筆M320に合わせるオレンジ系のインクを探していたところに見つけたのが、静岡県浜松市にお店があるブングボックスさんでした。無事ネット通販でインクを購入し、同封されていたチラシに載っていた情報に興味深いものがありました。
参考LINK: 万年筆とオリジナルインクのお店・ブングボックス【浜松 静岡】
そのイベントは「万年筆カフェ」。
その回毎に多数の催し物が企画されていたので、ぜひ行ってみたいと思いました。しかし、通常の開催地は残念ながら浜松。住んでいる東京西部からも実家がある沼津からも遠いので、いつか行きたいと思いつつ諦めていました。ですが、そんな思いが届いたのか、幸い実家の隣町・三島での開催のお知らせが届きました。あそこでやるならばと急いで実家に帰省し参加しました。
万年筆カフェ、私にとってはじめての万年筆オフ会はすごく楽しむことが出来ました。私のような初心者を温かく迎えてくれ、和気あいあいとした雰囲気で進む会でした。主催の方が女性だったため、男女比のバランスも丁度良かったです。その万年筆カフェには、以前からTwitterで交流したいと思っていた方や読んでいたブログの中の人もいて、文具の話も勿論、やっぱり人と会うのは良い体験と実感することになりました。
以前書いた万年筆の手入れには、セーム革を使うと良いことを直接教えてもらえたり、ペン先の調整をやってもらえました。今度は、浜松に機会を作って行きたいと思っています。
趣味の文具箱に初掲載!
万年筆好きな方々との交流に胸を躍らせていました。
楽しく万年筆談義をしながら、会うことが出来たのはエイ出版社「趣味の文具箱 」の編集さんでした。趣味の文具箱というムックには、かなりマニアックな万年筆情報が満載であり、万年筆好きにとってはお馴染みの代物です。私の場合は、一度買った際に趣味の文具箱にはハマってしまい、毎号欠かすことなく購入しながらバックナンバーも入手していました。
そんな本を編集している方にお会い出来、テンションが上がっていたところ次に出す企画を教えてもらい、絶対使ってみたいペン(M320)を紹介するユーザーの一人として誌面に出ることが出来ました。
私が載っている趣味の文具箱vol.25が発売される予定だったのは、2013年の3月でした。
自分の誕生日(3月20日)付近は、帰省していたのでせっかく雑誌に載ることが出来たので祖父母に見せました。趣味の文具箱で私がM320を持って載っているページと、たまたま同時期に載った日経ビジネスAssocieの文具術の記事(薄いメモ帳について掲載)を見ながら、「そんなに文房具が好きだったんだね!」とビックリしていました。
まさか、雑誌に載るほど好きだとは思っていなかったようでした。ただ驚きも束の間、祖母はなにかを思い出したように物置になにかを探しに行きました。「昔もらった万年筆がしまってある。使えるのか確認してほしい。」とのことでした。
そうして祖母が出してきた万年筆が、モンブランのマイスターシュテュック146でした。
そのマイスターシュテュック146にはほとんど使った形跡がありませんでした。また、一緒に入っていたものにビックリ。なんと、20年近く前に買ったらしいインクとそのレシートも一緒に出てきました。使った形跡がなくても、インクを吸入してそのままにしていることもあるので、まずは万年筆を水の中に入れつつインク窓を確認してみたところ、インクがかすかに残っていたようでした。ぬるま湯で洗浄すること1時間、一段落ついたところで、つけペンで書いてみました。これが「おっ!」とビックリするよう、モンブランに惚れたくなる書き味でした。
内部の機構は全く傷んでないと思い、もうちょっと洗浄を使えればしっかりと使えるようになるよ!、と祖母に報告しました。そうすると、「なら、使う人が持っていた方がいい。丁度良い機会だから、大事に使ってあげて」と祖母から託されることになりました。私が今持っているモンブランの万年筆は、すべて家族の手から私に届いたものです。なんだか見ているだけで、自然と感謝の気持ちが溢れてくるようです。そして、同様に、早く税理士試験に合格して、祖父母孝行、親孝行したいという気持ちが沸々と沸き上がってくるようです。
マイスターシュテュック146(MONTBLANC)のルックスチェック♪
書いた感じ+使っているインク
キャップをつけても、つけなくても絶妙な重さです。
どっちの場合でも、しっくりくる書き味のポイントがあります。その時の気分によってキャップをつけるかどうかは変えています。この万年筆に初めて触った時には、その素晴らしさに驚きました。マイスターシュテュックの筆記に向くような重量バランス、漆を思わせてくれるような手にしっとりと馴染むボディの感触は、えもいわれぬ所有欲を満たしてくれました。
ペンを走らせると、ペンの重みだけ心地よく書けます。
書いた感覚は、実にしなやかで最高です。ペン先は惚れ惚れするぐらいに調子良く、適度にしなり書きやすいです。ただし、もらった直後はあまり馴染んでなかったのです。段々書いているうちに、私の書き方・書き癖を把握し、滑るようなヌメヌメ感で書けます。
また、貰ったものなのでペン先は選ぶことは出来なかったのですが、ペン先の太さはF(細字)です。外国製の万年筆なのでFと言いつつ太め、たっぷりとした潤沢なインクフローが書くことをすすめてくれるようです。
そして、もう一つのマイスターシュテュック146の愉しみは、インクを入れる作業です。
モンブランといえども、手軽なカートリッジ交換方式が主流になっている中で、146の方式はボトルインクからペン先を通じて直接吸い上げるピストン吸入式が使われています。どんなインクを入れようかと悩むのも楽しく、また当然インクを入れる作業もたまらなく好きです。
この記事を書いた際には、パイロットの色彩雫シリーズの「深海」を使っていました。その後、エルバンのアニバーサリーインク「オーシャン」に移り、今ではモンブランのミステリーブラックに落ち着いています。
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
振り返り楽しかった♪ 値段の高さも納得の一本。
です。
やっぱり最高です、万年筆。
今から振り返ると、10代最後のタイミングでちゃんとした国産の万年筆(パイロットのカスタム74)に出会えたことは、幸運だったと思っています。良い万年筆を20代前半から使いだすことができたので、名品・フラッグシップと言われている万年筆を永く味わっていきたいですね。また、物欲と闘いながら憧れの筆記具を誕生日に手にしていこうと思っています。これで終了とならないのが万年筆の奥深い怖さでもありますが…。(23歳の誕生日には、パイロットの823FAを買おうともくろんでいます。)
最後にですが、万年筆購入時の気持ち! 振り返り企画は、万年筆をはじめて買った時の自分の気持ちを思い出す感慨深い大切な企画でした。読んでくれた方も楽しんでいただけたら光栄です。また、これからは、今だから分かる初心者向けの万年筆記事を書いていきたいと思っています。