「ココボロ」に拭き漆を施した万年筆(Stylo Art / 数野元志氏・製作)を入手。
手に馴染む感覚が心地良い木軸や漆塗りの万年筆。その系統の万年筆に触れている内に 段々と気になり、特に、橙色の木種(花梨、ココボロ、ブライヤー等)に惹かれました。
そうして探す中で、目星をつけていたスティロアート軽井沢 (Stylo Art)の催事で「ココボロ」に拭き漆を施した万年筆と出会いました。
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目次(ざっくり内容紹介)
漆作品に期待して、スティロアートの展示会へ。
万年筆のインキで 木地を染めてから、拭き漆を幾度も施した『インキ染め・拭き漆』という手法や、下地に錫粉を蒔いて 色漆を塗り重ね、錫の層が表れるように研ぎ出し、程良い艶がでるまで漆を摺り込む『彩雲塗り』など、特色のある作品を生み出している「スティロアート軽井沢」。
以前、入手した『インキ染め・拭き漆』手法を施した万年筆 ×2。
杢が鮮明に浮かび上がり、尚且つ、木では見かけない形相の面白さにハマったため、『インキ染・拭き漆』を施した 好みの色軸があるかな、とスティロアートの催事を期待して待っていました。
しかし、手間のかかる品ということもあって、並んでいたモノは、以前見かけた「色彩雫・夕焼け」で染めた軸。ダークオレンジの陰影は美しいものでしたが、入手した別のインク(オレンジクラッシュ)で染色した明るい軸が好みをバッチリ捉えていたコトもあって、見送りを決定。
もうひとつ気になっていた作品は、『彩雲塗り』の品々。
研ぎ出された錫の光沢と漆の艶。二つが結びついた様相は想像出来なかった訳ですが、実物をみてみると、「砂壁(和室の壁)っぽい」というのが第一印象。こんなテイストの漆作品は新鮮でしたが、「山吹色」の彩雲塗りが見てみたいので、こちらも見送り。
「ココボロ (Cocobolo)」に吸い寄せられて…
色調が橙色の材木を調べて、候補に挙がった木・ココボロ。
ただ、『ココボロ』の特徴・エイジングが非常に早く、色の変化幅も大きめ(明るい黄色、オレンジがかった赤色 → 飴色、木目も分からない程に濃く深い茶褐色)という点が気に掛かり、使い込んだ後の様相が 好みじゃないかも…?と、なかなか入手までには至りませんでした。
中南米原産のマメ科ツルサイカチ属の広葉樹。サザンアメリカンローズウッドとも呼ばれ、紫檀(ローズウッド)とは近縁だが、色調は異なり、心材は橙色から赤褐色を呈す。 黒い縞や班を有することがあり、サイケデリックな文様が珍重され、使い込むと艶やかな濃い色に変色。
しかしながら、此度、目を留めたココボロの軸は、通常のオイルフィニッシュではなく、拭き漆仕上げ。
オイルフィニッシュは、木肌に植物油を塗るコトで、内部に塗膜をつくり、表面は木本来の個性を活かし、木の経年変化も楽しめる仕上げ方。拭き漆仕上げは、生漆を材に摺り込んで仕上げる方法。
摺き漆仕上げならではの艶、木目、そして、色変化が控えめという期待。
これらを鑑みて、拭き漆を施したココボロなら、条件はオールクリア。
そんなこんなで 最後の考え所は、オレンジ色が強い個体か、ココボロらしい赤色の利いた個体か、どっちにするか問題…。二つを見比べては唸りつづけ、結局は、最初に目をつけた「ココボロらしい赤色の利いた個体」を選びました。
首軸が、軸と同じく「ココボロ × 拭き漆仕上げ」なのもイイ!
万年筆を使っていると、指先が接する首軸部。この首軸部分が 軸と同じ木で拭き漆が施されている点が、このモデル・シラネ × 拭き漆の特徴であり、ゆびが すっと落ち着く感じは心地良く、心が動きました。
ペン先は、パイロットの「フォルカン / FA」(15号)!
軟らかく、ペン先がしなりやすい。
でっぷりと大きいペンポイントが付いた「コース / C」を当初は購入したものの、日頃の使い方を省みて、別の万年筆に就いていた「フォルカン / FA」に差し替え。
くにっと撓みやすく、抑揚をつけるのも容易なので、面白さ・愉しさを求めるならば、やはり、フォルカンはピカイチ。
☆ココ↓掘れ、ざっくざく!!
今回のココ↓掘れ、ざっくざく!!は、
手になじむ漆と杢の両方を楽しめる拭き漆。「ココボロ」のエイジングはどうなるかなー?
です。
手元にあるスティロアート産まれの万年筆は、どれも具合が抜群に良く、今回迎えた「シラネ拭き漆(ココボロ)」も かなり気に入っています。リング、クリップがなくて、すっきりシンプルで格好良いです。
そしてそして、拭き漆を施したココボロさんが、今後どんな風に経年変化していくのかも楽しみです。